昨今は会社クチコミサイトを就職や転職の参考にする人が増えています。会社クチコミサイトは、実際に働いている人や元社員のリアルな意見が見られるので貴重な情報源ですが、すべてのクチコミが正しいとは限りません。クチコミの一部では事実とは異なる内容が投稿されている可能性があります。この記事では嘘のクチコミ・クチコミの捏造について説明します。 正しい情報でより良い選択をするための参考になれば幸いです。
会社側が捏造する
会社側がネガティブな投稿を打ち消すためにポジティブな投稿を捏造する事はあります。顕著に捏造が判明した場合はサービスの運営会社が削除しますが、判定は困難なため削除されない方が多いでしょう。
昨今は、求職者がネット情報をチェックする事が多いため、企業もしくは経営者もクチコミを意識しています。採用活動にも影響するため、評判の良し悪しを把握している会社は多いでしょう。
そして評判が悪い会社の中の一部ではクチコミを捏造して操作しようとする会社も存在します。「そこまでするか?」と思う人もいるかもしれませんが、特別人気が無い企業では採用に苦戦するため「少しでも会社を良く見せたい」と思っている企業は多いです。
捏造は、従業員数が多い会社(1000名など)では通用しませんが100名, 200名規模であれば、短期的には効果が出る可能性があります。 そしてネガティブなクチコミは印象が悪いため、”ポジティブな投稿を捏造する”という安易な判断にいたってしまいます。
捏造されたクチコミの特徴
クチコミに限った話ではありませんが、捏造や嘘は何らかの抜け漏れが出ることが多いです。 捏造文章の特徴としては低評価を打ち消すために異常に高い評価を無理に付けるため、他の投稿と雰囲気が違う文章になったり評価や文章が不自然になります。 例えば以下のような特徴が考えられます。
・不自然な満足表現・感謝表現がある
捏造では評点を高くするため、文章もそれに合わせて無理な満足表現や感謝表現がなされます。
例:
「今年はボーナスも出て大変満足しています。昇給もして頂き大変嬉しいです。」
「社長・部長の方々は教育熱心で日々成長出来ており、大変感謝しております。」
・文章が少ない
投稿者は文章の内容が浮かばず、ミスを減らしたいため文章が少なくなります。
・抽象的な表現が多用される
投稿者は具体的な事を書けないため抽象的な表現になります。ただし一般の投稿者でも会社の内情は具体的に書きにくいため、抽象的な表現になる可能性はあります。
例:
「給与が良く大変満足しております。また給与のみならず環境も良かったです。・・・」
「営業では、顧客のニーズを把握しニーズに沿った提案をしており、交渉力で受注を獲得していました。」
・文章が不自然/説明に矛盾がある
“捏造に慣れていない投稿者”が捏造する場合、一般の投稿者になりきれず文章が不自然になる可能性があります。また捏造の投稿は関係者(管理者や別の担当者等)がチェックする可能性が高く、以下のような特徴が出る可能性が考えられます。また細部の状況まで想定しきれず、説明にわずかな矛盾が出る可能性もあります。例:不自然に丁寧 / 不自然に説明が細かい / 使用する単語が不自然 / 細部に矛盾がある
・従業員数のわりに投稿数が多い
従業員数のわりに投稿数が多い場合、捏造の可能性があります。ネガティブ評価が多くなり、それらを打ち消すためにポジティブ評価を投稿するため、合計して投稿数が多くなるためです。
従業員数100名の会社:投稿数50件
従業員数20名の会社:投稿数10件
・ある時点から投稿が少なくなる
捏造ではありませんが、会社側の操作として外部でのクチコミ投稿を禁止した場合、ある時点から一般のクチコミ投稿が少なくなる可能性があります。会社側が、機密情報漏洩や営業妨害などを理由として禁止する事が考えられますが、クチコミ投稿を禁止する事はあまり一般的ではなく、ネガティブ投稿を抑えるために禁止している可能性が高いでしょう。
2018年まで:1年の平均 20投稿
2019年以降:1年の平均 3投稿
捏造の作られ方
クチコミ文章の背後にある「捏造作成の工程」を意識する事で、捏造可否の判断がしやすくなる場合があります。捏造作成の工程として3点パターンを紹介します。
1. 組織的に捏造する
組織的な捏造の場合、トップである管理者が”1名~3名など少人数”のスタッフに指示して投稿する体制が考えられます。具体的には管理者が「こうして欲しい」のような簡単な指示を出し、指示に沿って投稿メッセージが作成されます。この場合、投稿者は指示内容を強く意識するため、不自然に良さを主張する事があり得ます。また何らかの具体的な指示で作成された文章は脈絡が不自然になる事もあります。
そして捏造を行うような組織は管理者の力が非常に強く、指示を受けた担当者はトップの評価や機嫌を気にする可能性があります。 中には露骨に管理者を持ち上げるようなメッセージもあり得るでしょう。
投稿の例
「非常に良い環境で日々皆で切磋琢磨しています。」
「社長からの熱意ある指導はスキルアップに繋がっており、大変感謝してます。」
「トップの決断が早く判断力も素晴らしく、また毎年大きな利益が出ております。」
指示の例
「”環境/給与/経営者の良さ”について良いコメントをして4以上の評価をして欲しい。不自然なコメントはしないでほしい。」
2. 管理者が自ら捏造する
管理者が自ら捏造する可能性もあり得ます。小規模な会社ではネガティブ投稿を打ち消すために管理者が自ら投稿する事も稀にあるでしょう。この場合、管理者個人がよく利用する文章表現、単語、言い回しなどが一部に現れる可能性があります。
3. 外部に依頼して捏造する
ネット投稿が得意な小さな企業・フリーランスなどの外部に捏造を依頼するケースが考えられます。この場合、依頼を受けた投稿者は、ネット投稿に慣れ表現が上手い可能性があり見分ける事は困難です。見分ける観点としては、”投稿者は実際には内情を知らない点”を念頭においてチェックするくらいです。
無関係の第三者が投稿する場合もある
会社クチミサイトでは「本人確認」や「ユーザーの勤務実績を確認」をしていないため、簡単に偽投稿ができます。そして会社クチミサイトのクチコミを見るためには、クチコミ閲覧条件の一つとして「自分のクチコミ投稿」が存在します。そのためクチコミを見るために自分が勤務したことがない会社にて虚偽情報を投稿するユーザーがわずかに存在する可能性があります。
。文章は”捏造”と同じような特徴が出る可能性がありますが、”捏造”と異なる点として「高評価ではなく平均程度の値で評価されている可能性」があります。
偽投稿への対応としては「匿名のクチコミ投稿は鵜呑みにせず参考にする程度に留める」、「複数のクチコミを見て傾向を見る(1人のクチコミを信用しすぎない)」程度になります。会社のクチコミは貴重な情報源ではあるものの、匿名クチコミの鵜呑みは危険です。