会社クチコミサイトのクチコミは、事実を読み取る事が特に重要となります。この記事では「会社クチコミサイトの見方」として、投稿者の価値観に左右されにくい事実情報のチェックポイントを説明します。また後半ではクチコミを出しながら分析の一例を紹介します。
年収、残業時間、有給消化率、在籍期間をチェックする
クチコミ投稿の「年収、残業時間、有給消化率、在籍期間」は数字で示される事実に近い情報であり非常に貴重な情報となります。満足度は数値になっても人の価値観によるため、信用しきれる情報ではありません。しかしながら「年収、残業時間、有給消化率」は人の価値観によって左右されにくく客観性の高い情報となります。また定量的な情報でもあるため勘違いせず読み取れます。勘違いしにくい情報:「事実情報 + 数値(定量的な情報)」
「年収、残業時間、有給消化率」を見る事である程度の労働環境は予想できます。 ホワイトな環境は残業時間が非常に短く有給消化率が高く、ブラックな環境では今だ残業時間が長く有給消化率は低いです。
ホワイトな環境の例
年収: 700万
1ヶ月の残業時間: 2時間
有給消化率: 90%
ブラックな環境の例
年収: 400万
1ヶ月の残業時間: 60時間
有給消化率: 10%
また「在籍期間」と「入社形態」により、新卒の場合はおおよその年齢がわかります。転職者の場合は年齢は予想しにくいですが、勤務した期間が読み取れる可能性があります。「在籍期間」と「入社形態」も投稿者の価値観に左右されにくい情報のため、貴重な情報として注意深くチェックしていきます。
在籍期間で読み取れる事
・「在籍期間5、6年、新卒入社」 → 年齢は20代後半の可能性が高い
・「在籍期間1、2年、中途入社、退社済」 → 中途で入社し短期で離職した可能性が高い
・「在籍期間20年以上、新卒入社、現職」 → 現在も勤務中で40代~50代の可能性が高い
職種・役職をチェックする
“職種・役職”のチェックも重要です。”職種・役職”も投稿者の価値観に左右されにくいため貴重な情報となります。「スタッフ」「運用」などの粗い役割表現の場合もありますが、「営業」「システムエンジニア」ように具体的に記載がある場合もあります。
“職種・役職”が異なる人では環境が大分異なり所感がまったく異なる可能性もあります。そのため自分が参考にしたい”職種・役職”の投稿の詳細チェックがお奨めです。
職種・役職の例
・営業、企画、開発、オペレーター、コンサルタント
・課長、主任、部長、リーダー、マネージャー
投稿日をチェックする / 投稿順に並び変える
平均評価の値は過去分も含まれるため、最新状況が正しく表れていない可能性があります。そのため各クチコミの投稿日のチェックは重要です。投稿日を強く意識する場合、投稿日順で並び替えるとチェックしやすいです。一部のクチコミサービスでは”投稿日順で並び替える機能”が存在しない場合もありますが、多くのサービスでは並び替えできます。
企業での働き方は「働き方改革」と「新型コロナウィルスの影響によるリモートワーク推進」によって労働環境が大きく変化した会社があります。そのため変化が大きな会社の場合、”2020年頃より前”と”2020年頃以降”で区別して見る必要があります。
2020年頃より前:2.8
2020年頃以降:3.6
また企業の環境は経営体制や事業状態の変動によっても大きく変わる可能性があります。大きな変更は企業が発信するニュースリリースなどによっても把握できる場合があり、変動があった年を意識してクチコミをチェックするとより正確な状況把握ができる可能性があります。
2021年まで:3.1
2022年以降:3.8
2022年まで:3.5
2023年以降:2.7
総合評価の内訳をチェックする
“総合評価”はクチコミサービスの各指標(給与の満足度、風通しの良さ、スキルアップ等)の平均値になります。そのため状況をより正確に把握するには総合評価のみならず、各指標をクチコミ単位で丁寧にチェックする必要があります。
例えば、総合評価が3.0の場合でも「給与の満足度: 4.0、風通しの良さ: 2.0・・・」の場合もあれば、「給与の満足度: 2.5、風通しの良さ: 3.5・・・」の場合もあります。前者と後者ではまったく状況が異なるため、総合評価のみならず各指標の値をチェックします。自分にとってはどの指標を重視するか?を念頭に置き、”重視する指標”は高評価なのか低評価なのかをチェックします。
給与の満足度: 4.0、風通しの良さ: 2.0・・・
b. 総合評価3.0
給与の満足度: 2.5、風通しの良さ: 3.5・・・
c. 総合評価3.1
給与の満足度: 3.5、風通しの良さ: 3.8、法令遵守: 2.0・・・
また各クチコミサービスで総合評価を構成している各指標内容はある程度違いがあります。例:女性の働きやすさ、職場の雰囲気、ホワイト度 等。結果、総合評価は意味が異なる可能性があり得ます。
そのため各クチコミサービスを横断して見る場合、総合評価のみならず各指標をチェックすることがお奨めです。ありがちなチェックポイントとしては「給与の満足度」「風通しの良さ」「人間関係の良さ」などが特に重要となるでしょう。
クチコミの分析例
クチコミの分析例を紹介します。クチコミは、事実情報と価値観に左右される投稿者の所感が混在しています。事実情報を確認しながら、所感については自分に影響のあるクチコミか分析していく事が重要です。
例1: 不明瞭な賞与
「業績は悪くないのに驚きの賞与なし。一部の人は貰っているようですが基準がわかりません。」
評価2.5 / 年収450万
「求人に”決算賞与あり”と記載があったのに2年連続で賞与ありませんでした。騙されました。」
分析例
賞与支払いの基準が不明瞭。賞与が貰えていない人がいる。入社時は条件面を厳密に確認した方が良い。
例2: パワハラがある環境
「パワハラが横行してます。各部署の部長はパワハラ気質な人がほとんどです。」
評価2.7 / 年収420万
「高圧的な態度で業務を指示されます。反対意見を強く言っていた人で減給された人もいました。」
分析例
パワハラ気質の会社である可能性がある。ただしパワハラは企業が対策して大幅に減少する場合もあり得る。そのためクチコミの投稿日を入念にチェックしてみる。
例3: 待遇が良い環境
「転職時に大幅に年収アップし、1年後の評価でも普通程度の結果で大分昇給できました。」
評価3.8 / 年収750万
「転職者の最低水準は500万周辺が多く、若手の多くの人はその辺からのスタートです。」
分析例
給与待遇は良い可能性が高い。残業時間、人間関係、レベル感などに懸念がないかチェックする。
例4: 不明瞭な評価基準
「仲良しでかたまっており、その群れに入らないと昇給は絶望的と思った方が良いです」
評価3.3 / 年収650万
「評価が曖昧過ぎて何を基準に昇給するか最後までわかりませんでした」
分析例
評価システム(評価ルール)が無い可能性が高い。ただし決裁者により理にかなった評価が行われている可能性もあれば、クチコミのように環境が良くない可能性もある。詳細は面談などで要チェックすることが望ましい。
例5: 建設的な社風
「とにかく性格が良い人が多いです。性格が悪い人に会った事がありません。 」
評価4.2 / 年収550万
「個人の考えを非常に尊重する社風です。それは良い事ですが、自分の考えを明確に伝えられる必要があります。」
分析例
働いている人は性格が良い人達が多い模様だが”仲が良い人達”で群がっているわけではない。そのため自分がしっかりしていないと環境に馴染めない可能性がある。
例6: 給与体系
「固定残業代30時間で月給が高め。年末に2か月分の賞与が支払われます。」
評価3.2 / 年収580万
「人によって違うようです。私は基本給と役職手当、賞与4か月分程度でした。」
分析例
給与体系は一律ではない可能性が高い。他職種の募集要項などを確認し、どのような違いがあるのか調査する。最終的には面接時でも確認する事が望ましい。
例7: 研修が多い職場
「とにかく研修が多かったです。仕事に関係ない研修も多くモチベーションが保てませんでした。」
評価3.5 / 年収420万
「研修受講が必須でしたが、受講内容は選べて易しい内容が多かったです。」
分析例
研修受講が多く、必須になっている可能性が高い。
例8: 評価について
「でたらめな評価で低い評価を受けました。まともな評価はなされていません。」
評価3.6 / 年収650万
「評価は成果に基づき、上司のみならず周辺メンバーからも付けられ、妥当性の高い仕組みになっています。」
分析例
複数人から成果を見られる。ごまかしは通用しにくく、実質的な成果を出していく必要がある可能性が高い。
例9: 転職者の給与
「転職してきた後輩社員が自分より給与が高く、モチベーションが維持できませんでした。」
評価3.4 / 年収680万
「転職して3年経ちましたが、給与は1年目から上がっていません。入社時の給与交渉がすべてです。」
分析例
転職者後の給与アップは簡単ではない可能性がある。また入社時の給与交渉が非常に重要となる。
例10: 経営状況
「15年間働いていましたが3年前に業績が急悪化し、希望退職者募集で退職しました。」
評価3.1 / 年収480万
「赤字で賞与が少なめです。数年前と比較すると人が3割程度減っており仕事も多めです。」
分析例
経営状況が良くない可能性がある。ただし労働環境への影響度は他のクチコミ投稿も良く見た方が良い。また求職者から人気が落ちていれば、入社のチャンスである可能性がある。
例11: 職場の雰囲気1
「周辺は皆優しい人が多いです。アットホームな雰囲気で落ち着きます。」
評価3.8 / 年収420万
「非常に建設的な風土で、前職より仕事量が少なく余裕をもって働けています。」
分析例
職場の雰囲気が良く、人間関係の悩みが少ない職場の可能性が高い。ただし高い給与は望めない可能性が高い。
例12: 職場の雰囲気2
「社内は殺伐とした雰囲気です。お給料は良かったのですが、仕事量が多く毎日疲れ果てていました。」
評価2.8 / 年収700万
「協調性・調和が皆無な自己中心的な風土です。私もあるプロデューサーの自己中な判断に苦しめられました。」
分析例
職場の雰囲気が良くないため、やりたい仕事・キャリアアップ・給与アップなど明確な目的が無い限り入社しない方が良い。
例13: 職場の雰囲気3
「体育会系 + 宗教のような感じでした。月曜の全体朝礼は露骨です。転職者が少なく短期で退職しました。」
評価3.4 / 年収500万
「上層部や高成績の方を称えるような独特の風土はありますが、全般的に話しやすい人は多かったです。」
分析例
誰もが馴染める雰囲気ではない。ただし価値観が合う人であればやっていける可能性はある。