CxOとは?VPoXとは?70種類以上のCxOを徹底解説

企業の組織図を見ていると「CxO」という役職名を目にする事が増えてきました。本記事では企業で見られる70種類以上のCxO(VPoX含む)を取り上げ、それぞれの役割・責任について解説します。

CxOをわかりやすく解説

CxOの中では、最高経営責任者である「CEO」は歴史が古く、日本の企業では1995年前後からソニーなどのグローバル企業で徐々に採用する企業が出現し、2005年前後では大企業、ITベンチャー企業などで「CEO, COO, CFO, CTO」を設置するケースが増加しました。そして2015年前後にはCSO, CIO, VPoEなどの役職も目立つようになり、現在まで様々な会社でCxOの導入が進んでます。

 

CxOとは?

CxOとは「Chief x Officer」の略称で、企業における各分野の最高責任者を指します。「C」はChief(最高)、「O」はOfficer(責任者)を表し、真ん中の「x」には各専門領域を示すアルファベットが入ります。 従来はCEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)といった基本的な役職が中心でしたが、ビジネス環境の複雑化に伴い、より専門性の高いCxO役職が数多く生まれています。

企業はデジタル変革の推進、人材戦略、コンプライアンス、サステナビリティへの対応など、直面する課題は多岐にわたり、各分野に特化したCxOを設置するようになってます。

CEOと代表取締役社長は何が違う?

代表取締役社長」は法的な正式名称です。CEO制を導入する会社でも日本の法律に沿った代表者は必要なため「代表取締役社長兼CEO」などになります。法的な立場以外の違いは企業次第のため、代表取締役社長の役割とCEOの役割を明確に分けて考える会社もあれば、代表取締役社長とCEOはまったく同じ役割で考える会社も存在します。

CxOは社員でもなれる?

「CxO」は日本の法律に定義がない役職です。そのため決めるのは企業次第で「CxOは社員でもなれるという定義」の企業であれば社員でもなれます。一般的にCEOは取締役(代表取締役)が就任しますが、CTO、CIO、CFOなどは社員が就任するケースも多いです。(例:執行役員兼CTO)

VPoXとは?

近年は「VP of Engineering / VPoE」「VP of Product / VPoP」のような役職を見かけることが増えました。VPoXのVPは「Vice President(バイスプレジデント)」の略で、 特定の分野に特化した責任者(本部長・部長クラス)の位置付けです。役割・責任範囲はマネージメントに限定されず、分野によって異なります。またCxOとVPの主な違いは以下の通りです。一般的に権限の強さはChiefの方が強くなりますが、権限の強さ・役割は企業によって異なります。

CxO(Chief)

  • より戦略的・全社的な責任を持つ
  • 経営陣の一員として位置づけられる
  • 会社全体の方針決定に関わる
  • より上位の役職とされることが多い
  • 取締役 or 執行役員の兼任が多い。例:取締役CTO

VPoX(VP)

  • 特定部門・機能の責任者
  • 実行責任が中心
  • 部門の目標達成とマネジメントに集中
  • Chiefの下に位置することが多い
  • 執行役員の兼任が多い。例:執行役員VPoE

 

米国と旧来型の日本の企業組織

CxOは米国などの海外企業を真似た仕組みです。米国と旧来型日本の企業組織を比較した場合、米国の企業組織にはCxOがいる点で違いがあります。ただしCxOの存在の違いより「労働者の価値観、労働環境の違い」の方が違いとして大きく、「ジョブ型、ロール(役割)」についても大きな違いです。

ただし双方で「トップが決断して下の組織に指示を出す点」では基本的に同じです。そんな中、日本の会社でCxO制を導入する場合で例えばCFOが新設され、「財務担当の権限が強まるようなケース」では大きな違いが出ます。つまりCxOを導入すると専門領域の権限が強まるということです。また大抵は職位も高まるので専門領域で優秀な人材を採用しやすくなります。

米国の企業組織

旧来型の日本の企業組織

基本的な経営陣(CEO, COO, CTO, CFO等)

それでは分野別に様々なCxOを紹介していきます。まずは非常に多くの企業で採用されている基本系のCxOです。

CEO – Chief Executive Officer(最高経営責任者)

企業全体の経営を統括する最高位の役職です。株主や取締役会への責任を負い、企業の方向性を決定します。日本では代表取締役がCEOを兼任するケースが多いです(例:代表取締役CEO、代表取締役社長兼CEO)。例:ソフトバンクグループ

COO – Chief Operating Officer(最高執行責任者)

CEOの戦略を実際の業務に落とし込む実行責任者です。日常的なオペレーション全般を統括し、組織の効率化を図ります。アメリカ企業では一般的でしたが、近年は日本企業でも導入が進んでいます。副社長兼COO等が多いです。例:楽天グループ

CFO – Chief Financial Officer(最高財務責任者)

企業の財務戦略を担う責任者で、資金調達や投資判断、リスク管理を統括します。投資家との対話も重要な職務の一つです。トヨタ自動車では、CFOがグローバル展開における資金戦略を策定し、財務面から事業成長を支えています。

CTO – Chief Technology Officer(最高技術責任者)

技術革新の舵取りを担い、研究開発の方向性や技術投資を決定します。IT企業に限らず、製造業でもDXの推進役として重要性が高まっています。CTOが自ら技術基盤の構築とプロダクト開発を主導するケースも存在します。例:メルカリ、LINEヤフー

CSO – Chief Strategy Officer(最高戦略責任者)

企業の中長期戦略を立案・実行する戦略の専門家です。M&Aや新規事業開発、市場分析を通じて成長機会を創出します。コンサルティング出身者が就任することも多く、データに基づく戦略的判断をサポートします。

CIO – Chief Information Officer(最高情報責任者)

企業の情報システム全般を統括し、IT戦略の策定からデジタル変革まで幅広く担当します。従来のシステム管理から、今やビジネス変革の推進役へと役割が拡大しています。例:みずほフィナンシャルグループ

管理・財務・コンプライアンス系(CCO, CAO等)

CCO – Chief Compliance Officer(最高コンプライアンス責任者)

企業統治の強化に不可欠で、法令遵守とリスク管理を担当します。企業不祥事の頻発により注目度が高まり、特に上場企業では株主からの信頼確保のため重要性が増しています。規制が厳しい業界では必須の役職です。例:KADOKAWA

CLO – Chief Legal Officer(最高法務責任者)

法務戦略を統括し、契約管理や法的リスクの回避を担います。グローバル展開や複雑な取引が増える中で、弁護士資格を持つ専門家が就任することが多く、経営判断における法的側面を支援します。例:パナソニックグループ

CIO – Chief Investment Officer(最高投資責任者)

投資戦略の策定と実行を担当し、資産運用や投資判断を行います。機関投資家や資産運用会社では中核的な役職で、年金基金や保険会社などでも重要なポジションとして位置づけられています。例:NEC

CRMO – Chief Risk Management Officer(最高リスク管理責任者)

リスク管理体制の構築と運営を担当し、企業価値の保護を図ります。金融危機を経て重要性が認識され、リスクの早期発見と対応策の策定を通じて、事業継続性を確保する専門家です。例:富士通

CPO – Chief Privacy Officer(最高プライバシー責任者)

個人情報保護の観点から、プライバシー保護戦略を策定・実行します。GDPRや個人情報保護法の強化により需要が急増し、データを扱う企業では欠かせない役職となっています。例:ベクトル

CAO – Chief Audit Officer(最高監査責任者)

内部監査機能を統括し、業務プロセスの適正性を確保します。企業の透明性向上と不正防止の観点から、独立性を保った監査体制の構築を推進し、株主や投資家からの信頼確保に貢献します。例:MUFG

VPoF – VP of Finance(財務担当責任者)

財務業務を統括し、CFOを補佐して財務戦略の実行を担います。予算管理から資金調達まで幅広い財務業務を統括し、経営陣への財務情報提供と分析を行う重要なポジションです。

企業文化・組織変革系(CCO, CDO等)

CCO – Chief Culture Officer(最高文化責任者)

組織文化の構築と浸透を担い、企業価値観の体現を推進します。リモートワークの普及により、オンラインでも企業文化を維持する新しい取り組みが注目されています。従業員エンゲージメント向上の専門家として重要性が高まっています。例:ジーニー

CDO – Chief Diversity Officer(最高多様性責任者)

多様性推進を担い、インクルーシブな組織づくりを推進します。ESG経営の重要性が高まる中、女性活躍推進法などの法的要請もあり、日本企業でも設置が進んでいます。例:NEC

CRO – Chief Relationship Officer(最高関係責任者)

ステークホルダーとの関係構築を統括し、信頼関係の醸成を図ります。顧客、投資家、地域社会など多様な関係者との良好な関係を維持し、企業の持続的成長を支える重要なポジションです。

CCO – Chief Communication Officer(最高コミュニケーション責任者)

社内外のコミュニケーション戦略を統括し、情報伝達の最適化を図ります。SNSの普及により企業の情報発信が複雑化する中、ブランドイメージの管理と危機管理の両面で重要な役割を担います。例:LayerX

CVO – Chief Values Officer(最高価値責任者)

企業価値観の策定と浸透を担い、組織の行動指針を明確化します。パーパス経営が注目される中、企業の存在意義を明確にし、社員の働く意味を高める専門職として新たに生まれた役職です。

CNO – Chief Network Officer(最高ネットワーク責任者)

組織内外のネットワーク構築を推進し、協業関係の強化を図ります。オープンイノベーションやパートナーシップが重要視される現代において、戦略的な関係構築を担う専門家です。

CPO – Chief Purpose Officer(最高目的責任者)

企業の存在意義を明確化し、パーパス経営の推進を担います。特にミレニアル世代やZ世代の価値観に響く「意味のある仕事」を提供するため、企業の社会的意義を明確化する役割を担います。

CAO – Chief Administrative Officer(最高管理責任者)

管理業務全般を統括し、効率的な組織運営を支援します。人事、総務、法務などのバックオフィス機能を統合管理し、経営陣が戦略に集中できる環境を整備する縁の下の力持ち的存在です。

CHO – Chief Happiness Officer(最高幸福責任者)

従業員満足度の向上に焦点を当て、働きがいのある職場づくりを推進します。働き方改革の流れを受け、従業員のウェルビーイング向上を専門とする新しい役職として、特にIT企業を中心に広がっています。

企業ブランド系(CBO, CSO等)

CBO – Chief Brand Officer(最高ブランド責任者)

企業のブランド価値向上を担い、ブランド戦略の策定と実行を統括します。コカ・コーラやP&Gなどグローバル消費財企業で生まれた役職で、日本でも無印良品やユニクロなど、ブランド力を重視する企業で導入が進んでいます。例:SOMPOホールディングス

CCO – Chief Creative Officer(最高クリエイティブ責任者)

クリエイティブ戦略を統括し、広告・宣伝活動の創造性向上を図ります。広告代理店やエンターテインメント業界で多く見られる役職で、デジタル時代の多様なメディアでブランド表現を統一する専門家です。例:UUUM

CRO – Chief Reputation Officer(最高評判責任者)

企業の評判管理を担当し、ステークホルダーからの信頼獲得を図ります。SNSの普及により企業の評判が瞬時に拡散される時代において、レピュテーションリスクの管理と企業イメージの向上を専門的に担う新しい役職です。

CSO – Chief Sustainability Officer(最高サステナビリティ責任者)

ESG経営の重要性が高まる中で注目されており、持続可能な経営の推進を担います。カーボンニュートラルや循環型経済への対応が求められる現代において、環境・社会課題解決と事業成長の両立を図る専門家です。例:千代田化工建設

CIO – Chief Impact Officer(最高インパクト責任者)

社会的インパクトの創出を担い、CSR活動や社会貢献の推進を図ります。SDGsへの関心が高まる中、企業の社会的価値創造を測定し、ステークホルダーへの説明責任を果たす専門家として注目されています。

CTO – Chief Trust Officer(最高信頼責任者)

ステークホルダーからの信頼構築を担い、透明性の高い経営を推進します。企業不祥事が相次ぐ中、信頼回復と維持を専門とする役職として生まれました。ガバナンス強化とコンプライアンス体制の構築を通じて企業価値を守ります。

IT・テクノロジー系(VPoE, CDO等)

VPoE – VP of Engineering(エンジニアリング担当責任者)

技術開発チームを統括し、エンジニアリング組織の構築と管理を担います。シリコンバレー発祥の役職で、日本でもスタートアップを中心に広がっています。開発効率の向上と技術者のキャリア支援を両立させる重要なポジションです。例:メルカリ

VPoT – Vice President of Technology(テクノロジー担当責任者)

技術戦略の実行と技術チームのマネジメントを行います。CTOを補佐し、具体的な技術プロジェクトを推進する実務責任者です。アメリカ企業では一般的でしたが、近年は日本のIT企業でも導入が進んでいます。

CAO – Chief Architecture Officer(最高アーキテクチャ責任者)

システムアーキテクチャの設計と標準化を担当し、技術的な一貫性を保つ役割を果たします。複雑なシステムを持つ大企業では、技術的負債を防ぐための重要なポジションとして注目されています。

CDO – Chief Digital Officer(最高デジタル責任者)

デジタル変革を推進し、従来のビジネスモデルをデジタル化する戦略を立案・実行します。伝統的な企業でのDX推進において中核的な役割を担い、コロナ禍で需要が急増しました。

CSO – Chief Security Officer(最高セキュリティ責任者)

情報セキュリティ戦略を統括し、サイバー攻撃やデータ漏洩などのリスクから企業を守ります。リモートワークの普及により、セキュリティの重要性はかつてないほど高まっています。例:NEC

CAIO – Chief Artificial Intelligence Officer(最高AI責任者)

AI技術の戦略的活用を推進する新しい専門職です。全社的なAI導入を推進する役割を担います。

CRO – Chief Research Officer(最高研究責任者)

研究開発活動を統括し、長期的な技術革新を推進します。特に技術系企業や製薬会社では、競争優位の源泉となる基礎研究を統括する重要な役職です。短期的な成果にとらわれない視点が求められます。

CCO – Chief Cloud Officer(最高クラウド責任者)

クラウド戦略の策定と実行を担当し、クラウドファーストの組織運営を推進します。従来のオンプレミス環境からの移行を主導し、コスト削減と拡張性の向上を実現する専門家です。

CDO – Chief DevOps Officer(最高DevOps責任者)

開発と運用の連携を強化し、ソフトウェア開発の効率化を図ります。アジャイル開発やCI/CDの推進を担当し、「開発と運用の壁」を取り払うことで、より迅速なサービス提供を実現します。

CDO – Chief Data Officer(最高データ責任者)

データ活用戦略を統括し、データドリブンな経営判断を支援します。「データは新しい石油」と言われる時代において、企業の保有するデータを価値に変換する重要な役職です。例:LINEヤフー

CDO – Chief Development Officer(最高開発責任者)

新規事業や製品開発をコスト等のリソース面を考慮し実現、開発部門を統括する役割です。例:コロプラ

製品・サービス開発系(VPoP, CXO等)

VPoP – VP of Product(プロダクト担当責任者)

製品戦略の立案と実行を担当し、プロダクトマネジメント組織を統括します。GoogleやFacebookで生まれた役職で、日本のテック企業でも導入が進んでいます。市場と開発チームの橋渡し役として重要なポジションです。例:STORES

CPO – Chief Product Officer(最高製品責任者)

製品戦略全体を担当し、市場ニーズに応じた製品開発を推進します。ユーザーの声を製品に反映させる責任者として、競合他社との差別化を図ります。メルカリでは、プロダクト開発の専門役職を設けてサービス向上に取り組んでいます。

CXO – Chief UX Officer(最高UX責任者)

ユーザー体験の向上を図り、顧客満足度の最大化を担います。「使いやすさ」が競争優位となるデジタル時代において、ユーザー中心設計を組織全体に浸透させる重要な役職です。例:mediba

CDO – Chief Design Officer(最高デザイン責任者)

デザイン戦略を統括し、ブランドイメージの向上と製品の使いやすさを追求します。Appleのジョナサン・アイブが有名ですが、日本でもデザイン経営の重要性が認識され、設置企業が増えています。例:マネーフォワード

CAO – Chief Analytics Officer(最高分析責任者)

データ分析を通じてビジネス洞察を提供し、意思決定を支援します。ビッグデータ時代において「勘」ではなく「データ」に基づく経営判断を推進する専門家として、企業の成長戦略に欠かせない存在です。

CQO – Chief Quality Officer(最高品質責任者)

品質管理と品質保証を統括し、製品・サービスの品質向上を図ります。日本の製造業では品質へのこだわりが強く、継続的な改善活動を通じて「ものづくり」の競争力を支える重要な役職です。

販促・顧客対応系(CMO, CCO等)

CMO – Chief Marketing Officer(最高マーケティング責任者)

マーケティング戦略を統括し、ブランド認知度向上と顧客獲得を図ります。デジタルマーケティングの普及により、従来の広告手法に加えSNSやコンテンツマーケティングも統括する幅広い専門性が求められています。例:ユニ・チャーム

CCO – Chief Customer Officer(最高顧客責任者)

顧客との関係構築を担当し、顧客満足度の最大化を図ります。顧客データの分析から体験設計まで、顧客中心の事業運営を推進する専門家です。カスタマーサクセスの概念とともに注目度が急上昇しています。例:ユーザベース

VPoS – VP of Sales(営業担当責任者)

営業戦略を統括し、売上目標の達成と営業組織の強化を図ります。従来の営業手法に加え、デジタル営業やインサイドセールスの導入を推進し、効率的な売上拡大を実現する営業組織のリーダーです。例:ソラコム

VPoM – VP of Marketing(マーケティング担当責任者)

マーケティング活動を統括し、CMOを補佐してマーケティング戦略を推進します。デジタル化により多様化したマーケティングチャネルを統合管理し、ROIの最大化を図る実務責任者として重要な役割を担います。

VPoCS – VP of Customer Success(顧客成功担当責任者)

顧客の成功を支援し、長期的な顧客関係の構築を図ります。SaaS企業で生まれた概念で、顧客の継続利用と拡大利用を支援し、サブスクリプションビジネスの成長を支える専門職です。例:SmartHR

CCXO – Chief Customer Experience Officer(最高顧客体験責任者)

顧客満足度の向上に特化した役職で、顧客体験の最適化を図ります。購入前から購入後まで、すべての顧客接点での体験を設計し、ロイヤルティ向上を実現する専門家として企業価値向上に貢献します。例:NTT西日本

CWO – Chief Web Officer(最高ウェブ責任者)

ウェブ戦略を統括し、デジタルマーケティングの推進を担います。ECサイトの最適化からWebマーケティング全般まで、デジタル時代の顧客との主要接点であるWebを統括する専門職です。

CXO – Chief Experience Officer(最高体験責任者)

顧客体験全般の向上を図り、タッチポイント全体での体験最適化を推進します。オンラインとオフラインを統合したオムニチャネル体験の設計を担い、顧客の感情的な満足度向上を重視した新しい役職です。

CUO – Chief User Officer(最高ユーザー責任者)

ユーザー視点での製品・サービス開発を推進し、ユーザビリティの向上を図ります。特にIT企業やアプリ開発企業で重要視され、ユーザーファーストの思想を組織全体に浸透させる役割を担います。

CEO – Chief Engagement Officer(最高エンゲージメント責任者)

顧客エンゲージメントの向上を図り、長期的な顧客関係の構築を推進します。SNSやコミュニティ運営を通じて顧客との深い関係性を築き、ブランドロイヤルティの向上を専門とする新しい役職です。

企業戦略・事業開発系(CVO, VPoS等)

CVO – Chief Visionary Officer(最高ビジョン責任者)

企業の将来像を描き、長期的なビジョンの策定と浸透を担います。創業者が就任することが多く、組織全体にビジョンを共有し、社員のモチベーション向上を図る重要な役割です。スタートアップ企業で特に注目されています。

CIO – Chief Intelligence Officer(最高インテリジェンス責任者)

市場情報の収集・分析を行い、競合分析や市場動向の把握を担当します。ビジネスインテリジェンスの専門家として、データに基づく戦略的判断を支援し、企業の競争優位を築く情報戦略を統括します。

CKO – Chief Knowledge Officer(最高知識責任者)

組織の知識資産を管理し、ナレッジマネジメントシステムの構築を推進します。社員の経験やノウハウを組織全体で共有し、知的財産を活用した競争力向上を図る専門職です。コンサルティング会社で多く見られます。

VPoS – VP of Strategy / Vice President of Strategy(戦略担当責任者)

企業戦略の策定と実行を担当し、経営陣の戦略パートナーとして機能します。MBA取得者や戦略コンサルタント出身者が就任することが多く、データ分析に基づく論理的な戦略立案を行います。

CBO – Chief Business Officer(最高事業責任者)

事業運営全般を統括し、収益性の向上と事業成長を図ります。COOと似た役割ですが、より事業の収益性にフォーカスし、複数事業を横断的に管理する場合に設置されることが多い役職です。

CGO – Chief Growth Officer(最高成長責任者)

事業成長を担う専門職で、特にスタートアップや成長企業で重要な役割を果たします。マーケティングと営業を統合的に管理し、急速な事業拡大を推進します。サイバーエージェントでは、新規事業の立ち上げと拡大を推進しています。

CRO – Chief Risk Officer(最高リスク責任者)

企業リスクの特定・評価・管理を担当し、リスクマネジメント体制の構築を推進します。金融業界では必須の役職ですが、近年は一般企業でもコンプライアンスやレピュテーションリスクへの対応として重要性が高まっています。

CINO – Chief Innovation Officer(最高イノベーション責任者)

イノベーション創出を推進し、新技術や新ビジネスモデルの開発を担います。大企業の新陳代謝を促進する役割として注目され、スタートアップとの連携やオープンイノベーションを推進します。

CRO – Chief Revenue Officer(最高収益責任者)

収益最大化を図り、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを統合的に管理します。SaaS企業で生まれた役職で、顧客獲得から継続利用まで一貫した収益戦略を統括する専門家です。

製造・生産・サプライチェーン系(CSO, CMO等)

CSO – Chief Supply Chain Officer(最高サプライチェーン責任者)

調達から配送まで、モノの流れ全体を最適化するスペシャリストです。実は、グローバル企業では物流コストが売上の10~15%を占めることも。「ジャスト・イン・タイム」などの効率的な手法で、コスト削減と品質向上を両立させます。

CMO – Chief Manufacturing Officer(最高製造責任者)

工場の生産性と品質を両立させる、製造現場のプロフェッショナルです。日本の製造業では「カイゼン」文化が根付いており、継続的な改善活動を通じて世界トップクラスの品質を実現しています。例:トヨタ紡織

CRO – Chief Robotics Officer(最高ロボティクス責任者)

「人とロボットの共働」を設計する、未来志向の新しいポジションです。日本は産業用ロボット導入密度が世界一を誇り、製造業のDXを推進する重要な役割を担っています。例:ファナック

CAO – Chief Automation Officer(最高自動化責任者)

手作業を賢く自動化し、人間はより創造的な仕事に集中できる環境を作ります。興味深いことに、適切な自動化により従業員満足度も向上するケースが多く報告されており、生産性と働きがいを同時に実現します。

CPO – Chief Procurement Officer(最高調達責任者)

「安く買う」だけでなく、サステナブルで安定した調達戦略を描く戦略家です。最近では、ESG投資の影響で環境配慮型調達が注目されており、企業の社会的責任を果たす重要な役職となっています。例:ANAホールディングス

CSO – Chief Safety Officer(最高安全責任者)

「安全第一」を単なるスローガンから現実にする、職場の守り神的存在です。日本の製造業の労働災害発生率は世界最低水準を誇り、従業員の命と健康を守る最前線で活躍しています。例:川崎汽船

グローバル展開・地域系(CGO等)

CGO – Chief Global Officer(最高グローバル責任者)

世界規模でビジネスを展開する企業の「羅針盤」的存在です。興味深いことに、グローバル企業の約70%が文化的違いによる事業課題を経験しており、各国の商習慣や法規制を理解した戦略立案が成功の鍵となります。例:KADOKAWA

CRO – Chief Regional Officer(最高地域責任者)

特定地域のマーケットに深く根ざした事業戦略を描くスペシャリストです。同じ商品でも地域によって売れ方が全く異なることがあり、現地の文化や消費者行動を熟知した地域密着型のアプローチが重要な役割を果たします。例:三菱商事

CIO – Chief International Officer(最高国際責任者)

国境を越えたビジネスの「架け橋」として活躍する国際派リーダーです。為替リスクや国際法務、多言語対応など、国内事業では経験しない複雑な課題を解決し、グローバル市場での競争力強化を推進します。

業界特化系(CMO等)

CMO – Chief Medical Officer(最高医療責任者)

医療現場と経営戦略をつなぐ「医師でありながら経営者」という特殊なポジションです。興味深いことに、医療ミス削減には医師の視点が不可欠で、医療の質向上と経営効率化を同時に実現する専門家として注目されています。例:オリンパス

CSO – Chief Scientific Officer(最高科学責任者)

研究開発の方向性を決める「科学界のナビゲーター」として活躍します。日本企業の研究開発費は年間約19兆円に上り、イノベーション創出と事業化の橋渡し役として、未来の競争力を左右する重要なポジションです。

CMO – Chief Metaverse Officer(最高メタバース責任者)

仮想世界でのビジネス展開を設計する、まさに「デジタル未来の建築家」です。メタバース市場は2030年に78兆円規模になると予測されており、新しいビジネスモデルと顧客体験を創造する先駆的な役職です。

CEO – Chief Energy Officer(最高エネルギー責任者)

脱炭素社会実現に向けた「エネルギー革命のリーダー」です。日本は2050年カーボンニュートラル目標を掲げており、再生可能エネルギーの活用と省エネ戦略を統合的に推進する専門家として重要性が高まっています。

CBO – Chief Blockchain Officer(最高ブロックチェーン責任者)

分散型技術で新しいビジネスモデルを創る「デジタル革命の先導者」です。ブロックチェーンは金融以外にも物流や医療分野での活用が進んでおり、従来の中央集権的なシステムを変革する可能性を秘めています。

CCO – Chief Credit Officer(最高与信責任者)

お金の貸し借りにおける「リスクの番人」として金融機関を支えます。AI技術の発達により与信判断が高度化する中、従来の経験則とデータ分析を組み合わせた新しい信用評価手法の確立が求められています。例:いよぎんホールディングス

 


いかがでしたでしょうか。上記で紹介したCxOの多くは現時点ではごく一部の企業でしか導入されておらず、中には海外企業でのみ見られる役職も含まれています。とはいえ、企業統治や組織設計の在り方は時代のトレンドや社会的要請に応じて変化するものであり、現在では一般的でないポジションも、将来的に徐々に普及していく可能性はあるでしょう。(執筆・監修:sharksniff)