この記事の対象者
・学生 (高校生、大学生、就活生)
・転職を考えている方
・親会社、子会社に勤務する会社員の方
・その他
目次
子会社とは?
子会社の意味は、子会社・連結子会社・関連会社とは?をご覧下さい。
なぜ子会社を作るのか?なぜ子会社化が進むのか?
企業が子会社を作るメリットと世間で子会社化が進む主な原因を説明します。子会社として新しい会社を作る事は、事務手続きや管理労力がかかり、一見非効率なデメリットがあります。しかしながらデメリットに勝るメリットがあるため、子会社が作られるケースは絶えません。また外部企業の子会社化では、親会社・子会社・株主などにメリットがあります。様々なメリットがあるため、世間では子会社化が流行り浸透しています。それぞれ、主なメリットを簡単に説明します。
子会社を運用するメリット
企業が子会社を作り、運用する主なメリットです。
事業推進のための最適化ができる(独立採算性にできる)
事業を子会社として管理し、独立採算制で権限移譲される事で最適化され、スムーズになる可能性があります。迅速な意思決定が可能になり、様々な無駄が圧縮され、最適化されます。独立採算制は、効率面のみならずモチベーション面でも効果があります。
人員管理の都合で子会社を作る
人員管理の都合で会社を分け、子会社が作られる場合があります。労務条件、給与などは会社単位で設定されます。給与テーブルにより職種や職級などによって給与が設定されます。もし人の層が異なる人達を一つの会社で採用する場合、ルールや基準が多数できてしまい、人の層に対する最適化が行いにくくなる可能性があります。職業や人の層によって、賞与や退職金、残業規定、昇格、昇給ルールなどが大分異なり、一つの企業で多数パターンの管理は避けたい会社が多いでしょう。そして人の層に適した環境を用意する目的で、子会社が作られる場合があります。
リスク回避で子会社を作る
企業では様々な問題が起こる可能性があり、問題が発生した際、被害を最小に抑えられる可能性があります。例えば、知名度が高い会社1社に大人数が所属する場合、社員1人が問題行動を起こすだけで大きなイメージダウンを与えてしまうリスクがあります。しかしながらグループ企業の形態であれば、子会社や孫会社で問題が起きても世間から注目を浴びにくく、被害を小さく抑えられる可能性があります。
例
- 子会社の不正が発生したが、親会社や他の子会社には影響が少なかった。
- 子会社が一時事業停止となったが、親会社は営業が継続できた。
- 親会社が行政処分を受けたが、子会社事業には影響が少なかった。
環境変化に応じて事業を売却しやすい
事業を子会社として運用する場合、将来なんらかの環境変動があった際、売却しやすくなりメリットとなります。
長期間では様々な環境変化があり、例えば市場の変化により事業規模が衰退する、他事業の成長により会社の事業ドメインが変わる、会社が経営不振に陥るなどがあり得ます。その際、事業部として売却するより、子会社として独立している方が売却しやすいため、メリットとなります。例えば「買い手・売り手ともに負担が少ない、企業売却は事例が多く価値判定がしやすい、人の転籍がないため問題が少なくなる等」など、子会社での事業売却にはメリットがあると言えます。
外部企業の子会社化のメリット
外部企業の子会社化の主なメリットです。
親会社の連結規模を拡大できる
連結決算の企業にて、新たに外部企業を子会社化した場合、親会社の連結売上が上がります。連結利益も合算されます。規模を効率よく拡大できる手段であるため、企業買収は絶えません。特に投資家からは連結売上で見られる場合が多く、連結規模は重要です。
事業のシナジー効果を狙った子会社化
親会社、または子会社での双方のリソース活用がメリットになるケースがあり、シナジー効果を狙った子会社化があり得ます。
例
- 子会社の特許やライセンスを活用する。
- 販売チャネルの共有する。
- 親会社と子会社の共同でプロジェクトを推進する。
子会社の取引強化・経営基盤強化
親会社のブランドが強い場合、新たに傘下に入る事で子会社の信用・注目度が増し、取引が増加する可能性があります。大きな会社でも「より大きな競合企業」に苦戦を強いられる場合は多々あり、対抗策としてパワーを持つ会社の傘下に入り、会社の安定性や信用を強化します。また、親会社からの資金調達、経営人材の招聘などの経営基盤強化のメリットもあり得ます。
親会社の株価(時価総額)が上がる
外部企業が買収によって子会社化される場合、投資家からプラス材料と判断され、親会社の株価(時価総額)が上がる可能性があります。株価が高まる事は株主への貢献や増資の機会ができるなどのメリットがあり、親会社にとって良い事です。特に買収が盛んな企業では株価は重要で、株価を意識して買収する場合が多いでしょう。
子会社の株主は株式を売却し現金化できる
外部の企業が子会社化される際、子会社の株主は買収元企業(親会社)に株式を売却でき現金化できます。株式の売却益は大きな金額になり、株主のメリットとして大きいため子会社化が進む一因です。
例
- 中堅企業に成長させた創業社長が、大手企業に株式を売却する。
- 筆頭株主の投資会社が、保有する株式を事業会社に売却する。
親会社の方が強いのか?環境が良いのか?
親会社は子会社の多くの議決権を保持しており、子会社の経営判断ができ支配権があります。子会社の支配権があるためパワーがあると言えますが、経営判断以外の場での優劣は一概には言えません。例えば「親会社の方が環境が良い」「親会社の方が給与水準が高い」「親会社の方が会社規模が大きい」のように、親会社の方が優れている傾向はありますが、常に当てはまる事ではありません。当然ながら昔の封建制度や階級社会ような関係ではありません。親会社と子会社の優劣に関しては、人間関係のように複雑であり一概に言えず、「利害関係、取引関係、親会社・子会社の価値観」などによって異なります。
親会社・子会社の優劣
親会社の方が優れているパターン
- 親会社の方が労働環境が良い。
- 親会社の方が会社規模が大きい
- 親会社の方が給与水準が高い。
- 親会社の社員は非の打ち所がない。子会社の社員はミスが多い。
子会社の方が優れているパターン
- 子会社の方が優秀な社員が多い。
- 子会社の方が認知が高い製品を持っている。
- 子会社の方が企業価値が大きい。(親会社は純粋持株会社ではないが、企業価値が小さい)
- 子会社の方が給与水準が高い。
- 親会社が経営不振に陥る。
業務レベルの親会社・子会社の関係
また親会社と子会社の業務レベルの関係としても現場に強く影響する場合もあれば、影響がほとんどない場合もあります。
上下関係が強い親子関係
- 親会社が利益を獲り、子会社に薄利な仕事を発注する。
- 親会社からの指示は拒否できない。
- 親会社の社員は特別丁重に扱われる。
- 子会社にて、親会社出身の役員の部門の方が出世が早い。
上下関係が弱い親子関係
- 他の企業と同じように通常のクライアントとして取引する。
- 子会社に親会社出身の役員がいない。
- 業務レベルでは親会社からの指示がない。
同じ会社のような関係
- 同じ会社の社員のように働く。(所属する会社は異なる)
- 会社というより事業部のような関係。
- 親会社と子会社で給与水準が同じ。
企業グループ内の連携状況は企業により異なる
また企業グループ内の連携状況は企業により異なります。例えば、資本関係があるだけで取引や転籍などがないケースもあれば、グループ内で取引や転籍があるなど連携が活発なケースもあります。
連携が弱い例
- 資本関係があるだけで取引や転籍がない。
- 親会社と子会社がまったく別ジャンルの事業を運用し、リソース共有やシナジーが一切ない。
- 子会社は新規に買収した会社であり、連携がうまくいかない。
連携が強い例
- グループ内で親会社が企画・発注、子会社が下請けを担当し、一つの商品を作る。
- グループ内で取引・出向や転籍が多い。親会社が戦略に基づき子会社の各事業に深く関与する。親子で同じブランドの利用なども。
- 親会社がオフィスビルを保有し、子会社に賃貸する。親会社の商品を子会社が販売する。