株式の配当金をわかりやすく説明 ~大株主の配当金はいくらなのか?~

株式の配当金についてわかりやすく説明します。配当金、いつ配当金が支払われるかに加え、配当金の税金についても簡潔に説明します。

 

配当金とは?

株式の配当金は企業の利益の一部を株主に還元し、株を持っている株主に対して支払われます。配当金はインカムゲインに分類され、株式を保有しているだけで得られます。

配当金は支払われる場合もあれば、支払われない場合(無配)もあります。配当金の金額は会社によって方針は異なり、大きな利益が出ている会社でも無配の場合もあります。株価に対しての配当利回り(配当金の年利回り目安)は1%~6%です。銀行預金や国債と比較すると大きな利回りです。

また配当利回りは「巨大企業は配当利回りが高くない」、「ベンチャー系企業は利益が出ていても無配の場合がある」、「業種によって偏る」などの傾向はありますが、基本的には個々の会社で大きく異なります。

株主優待とは?

株主には配当金とは別に株主優待が存在します。株主優待も配当金と同じく会社によって実施のスタンスは異なります。例えば「会社のグッズ」「日用品」「粗品」のような安価なものから「会社サービスの大幅割引券」「会社サービスの利用権」などメリットが大きい株主優待が存在します。株主優待は主に個人株主を狙った施策です。「個人株主を集める(株価を支えるための株主集め)」、「会社に興味を持ってもらう」、「会社サービスの顧客を集める」などの意図で実施されます。一般消費者向けサービスを展開する会社の中にはユニークな株主優待もあり、「イベント優先予約」「限定グッズ」「ゲームソフト」などがあります。

また株主優待で得たチケットなどを売却することで現金を得る事も可能です。株を大量に保有する投資家は、株主優待で得たものを自身だけでは消化しきれないため、業者等に大量売却されています。(例: JR・ANA・JAL株主優待券はチケット業者に売却されている。)

配当金はいつ配当されるのか?いつ権利が確定するのか?

配当金の配当時期は会社の方針によって異なりますが、おおよそ配当回数は年1、2回で、権利確定日(半期末、もしくは期末時点)の株主が対象になります。そして権利確定日の2か月~3か月後に配当金が支払われます。年2回配当がある場合、1回目を「中間配当」、2回目を「期末配当」と言われ、第2四半期末、通期期末などが権利確定日になります。

例:

・権利確定日が3月末の場合、5月 or 6月頃に支払い
・権利確定日が9月末の場合、11月 or 12月頃に支払い

権利確定日に株主として認識されれば配当金がもらえる仕組みですが、権利確定日に株を買っても配当金はもらえません。株を買った後、株主権利の確定まで時間がかかるためです。

配当金をもらうには、権利確定日のおおよそ2日営業日前までに株を買う必要があります。いつまでに買えばよいのか?いつまで保有しておけば良いのか?の疑問については「権利付最終日」時点に株式を持っていれば権利が発生します。
また権利付最終日までに株を買い、権利落ち日に株を売っても権利確定日に権利が確定します。そのため、配当金狙いの短期買いが考えられますが、権利落ち日は株価が下がりやすく配当金以上の損失が出る可能性があります。

権利付最終日 株主権利を得ることができる最終取引日(権利確定日の2営業日前)です。
権利落ち日 権利付最終日の翌日のことです。前日に権利が約束されるため権利落ち日は株が売られやすくなります。
権利確定日 権利が確定する日です。この日に株を買っても権利は発生しません。

大株主の配当金はどのくらいなのか?

配当金は年利回り1%~6%となっており、銀行預金と比べれば大分利回りが良いですが、数字のとおり1回分ではあまりリターンは得られません。

年利回り3%の場合

株式100万 : 配当金3万
株式2000万 : 配当金60万
株式5000万 : 配当金150万

また株は下落のリスクがあり、3%の配当を得られても30%株価が下落すれば本末転倒です。そのため配当金は、短期保有や少額取引を行う人にとってメリットが少ない状況です。

そんな中、大株主は長期で株式を保有し、巨額の配当を得ているケースも存在します。大株主が個人の場合は主に創業経営者、もしくは創業者の子孫などです。大株主が会社の場合は親会社、投資会社などが巨額の配当金を受け取ります。

巨額の配当金の例1(個人)

・ソフトバンクグループ 孫正義氏 : 202億
・ファーストリテイリング 柳井正氏 : 105億
・ニデック 永守重信氏 : 32億
・コーセー 小林一俊氏 : 7億

巨額の配当金の例2(法人その他)

・GMOペイメントゲートウェイ : GMOインターネットグループ 約50億
・ソニーグループ : 日本マスタートラスト信託銀行 約140億
・NTTデータ : NTT 約160億
・日本電信電話 : 財務大臣 約1400億

大株主の配当金はどこでみれるのか?

大株主情報は有価証券報告書に記載がされており、保有株式数が報告されています。「保有株式数 × 1株の配当金」で”おおよその配当収入”がわかります。 確認には配当金が見れるサイトが便利です。

当サイトが運営するTX会社調査では「各企業ページ > 株式情報 > 大株主」でおおよその配当金が確認できます。

例 :

配当金の税率・納税の手続きについて

配当金の税金について簡単に説明します。配当金の税率は約20%(所得税15%、住民税5%程度)です。個人が得る配当金は基本的に「源泉徴収」されており申告不要です。

もし確定申告を行う場合は、総合課税と申告分離課税を選択できます。 確定申告を行うメリットとしては、「売却損が出ている場合、損益通算できる可能性がある」「人によっては控除により若干税金を減らせられる可能性がある」などです。

一方、個人の場合でも源泉徴収なし、かつ20万以上の利益が得られた場合は必ず確定申告が必要となります。納税は総合課税、または申告分離課税で申告を行います。また企業が配当金を受取る場合は法人の会計処理で計算され、個人の場合とは異なります。

その他、非上場企業の株式の場合は配当金の税率は約20%ではなく、総合課税となります。そのため所得が多い人の場合は50%程度が課税されます。

参考: 国税庁サイト https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm

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