ITエンジニアとは?ITエンジニアのメリットとデメリットを簡潔に説明

会社によりメリット・デメリットが異なるITエンジニア(写真:Unsplash)

ITエンジニアの職種としてはプログラマ、システムエンジニア、PM、インフラエンジニア、セールスエンジニア、テストエンジニアなど様々な種類のエンジニアが存在します。ITエンジニアが勤務する業種も幅広くかつレベル感も幅広い職種です。簡単な役割から非常に難易度の高い役割が存在し、会社が異なると業務内容・職種名・レベル感がまったく異なる場合があります。また大きなメリットとしてはエンジニアリング分野で自分の強みを作れれば、リスク少なく安心して働ける点があります。

ITエンジニアのメリット

ITエンジニアのメリットとして手に職が就く / 人手不足 / 給与水準がやや高めなどのメリットがあります。メリットを紹介します。

強みを作れればリスク少なく安心して働ける

例えば事業系職種の場合、「担当事業の数字が激減する、会社都合で支社や子会社へ出向する」など様々な外的要因のリスクがあります。しかしながらエンジニアの場合、事業都合の影響を受けにくくなり、外的要因のリスクが少なくなります。特に基礎能力が高く専門性をつけたエンジニアは将来的にも安泰でしょう。

新規案件のニーズが常にある

システムの新規案件ニーズは常に発生します。企業が売上を上げるために常に何らかのシステム投資が検討されているためです。企業の売上に関わるため、システム投資が無くなることはあり得ないでしょう。ちなみに営業職も数字を上げるニーズは常にあるため、ニーズは絶えません。

エンジニア職の相場が平均年収と比べてやや高め

一般の平均年収と比べるとエンジニア職種の平均給与はやや高めです。”やや高め”という点がポイントで、”高い”と言えるケースは、その中でも一部の企業・一部の職種です。また若くて優秀な人は同年齢との差が大きく出る場合もあり、報酬面でメリットがあります。

平均年収
システムエンジニア568万
全国平均年収436万
一級建築士702万
医師1169万
弁護士728万
公認会計士、税理士683万
デザイナー432万
高等学校教員709万
ホームヘルパー327万
電車運転士618万
※データ:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(令和元年)、国税庁の民間給与実態調査(令和元年)

給与上限が高めな企業がある / 若くても好待遇の企業もある

エンジニア職の中でも専門性が高い職種は給与が高水準です。また人が集まらないため、能力が高ければ年齢が低めでも好待遇の企業が存在します。

中小・ベンチャーでもニーズがある

入社敷居が高くない中小・ベンチャーでも現実的な給与水準での採用ニーズがあります。エンジニア職は大企業でも募集はありますが敷居がやや高めです。一方、中小(中堅)・ベンチャーでは人材確保に非常に苦戦しており、実績のある人は重宝されます。そのため万が一会社を退職しても他職種と比べ、比較的容易に似た給与水準で再就職できます。(参考: なぜITエンジニアを雇えないのか?)

様々な業種でニーズがある

エンジニア職は幅広い業種でニーズがあります。そのため強いこだわりが無ければ、比較的幅広い選択が可能です。業種により社風や人のタイプが異なる中、自分に合う風土の会社を選択しやすいです。

業務委託・フリーランスになれる可能性がある

ITエンジニアは様々な企業からニーズがあり、業務委託・フリーランスの道がある点もメリットです。業務委託・フリーランスでは自分で案件を選べ、かつ高単価案件に入る事が出来る可能性もあります。社員だと限界のある報酬も業務委託であれば上限が緩和されます。

参入敷居が高くない

エンジニアは基本的に特別な資格は必要なく、専門教育の大学を卒業する必要もありません。そのためエンジニア職に就くだけであれば参入敷居はあまり高くありません。例えば医師や弁護士、税理士、会計士などの場合、「専門教育」や「難関試験への合格」が必須となります。そのため学生の時に進路判断が必要となり、社会人になった後の転換はしにくいです。一方エンジニアの場合、社会人になった後でも転換できる機会があり、試験や長い期間の投資が必要なく、極論お金を貰いながらスキルアップしていけます。

業務経験を積む事で市場価値を作れる / 着実性がある

エンジニアは業務経験を詰めば市場価値を作れるため、着実性があります。業務経験を詰めば新参者との違いができるため、ある程度の参入壁を作ることができます。参入壁を作れない職業は高めな給与は見込めません。

また営業などの一般的な仕事でなかなかうまくいかず年収が低くなってしまう人でも、エンジニア職では手に職がつき、やや年収がアップする可能性があります。一般的な仕事が上手くいかない人はシステム業務でも高評価を得られないかもしれませんが、劣悪な状況からは脱却できる可能性があります。さらに特化した業務経験を積めば、仕事が出来ない人でもそれなりの市場価値を作れる可能性もあります。

好きな事を仕事にできる

技術が好きな人であれば好きな事を仕事にできる点は大きなメリットです。会社に行って好きな事ができ、まさに天職です。

理数系能力が高い場合、有利になるケースがある

エンジニア職種の一部では、高い理数系能力が求められるポジションが存在します。そのようなポジションでは、業務経験が長い人でも歯が立たず、業務経験が浅くても「基礎能力が高い人」の方が有利になります。有利な状況では「簡単に入社できる / 報酬が良い / 職場で重宝される」などのアドバンテージが生まれます。基礎能力が高い人には大きなメリットです。

不況・業績不振に強いケースがある

エンジニアは不況・業績不振に強いケースがあります。一般職・営業系職種の場合、売上が賞与に連動し業績が落ちると給与(主に賞与)も下がりがちです。一方エンジニアの場合、この要素がやや減少し、業績の影響を受けにくくなるケースがあります。例えば「業績が影響しない評価体制、賞与が月給に組み込まれた給与体系」等が存在します。またエンジニアが所属する部門は将来の収益のための先行投資の部門である場合もあり、直近の業績と無関係な場合もあります。

快適な環境で働ける可能性がある

優秀なエンジニアを募る会社は給与のみならず働く環境にも力を入れており、福利厚生、オフィス環境、報酬面、職場での地位※など様々な工夫がなされています。特にベンチャー系や外資では有名ビルへの入居、フレックス勤務、その他会社が用意する快適な環境があります。※職場の地位が低い場合、年功序列のように対応され、人によっては働きにくい環境となってしまう場合もあるでしょう。

関連:ITエンジニアが働く環境

ITエンジニアのデメリット

ITエンジニアのありがちなデメリットを紹介します。

求められるスキル・知識が追いつかない場合がある

エンジニアは、当然ながら技術面の成果が求められます。成果を出すには知識やノウハウが必要になり、基本は自ら意識して習得していきます。そのため知識の習得に疎かったり、アウトプットが出せない場合は評価が下がりますし、酷い場合はエンジニアを続けられなくなります。そのためエンジニアになってもメリットを享受できず、ピリオドを打つ人もいます。

納期や要望・システムリスクに追われる

納期設定や要望が次々と来て、それらのタスクを消化していく必要があります。また業務によってはセキュリティや不具合などのシステムリスクにも対応していく必要があります。営業の数字のような感覚でシビアに見られる事もあり、甘い世界ではありません。

エンジニアの給与相場はそれほど高くない

給与の感覚は人それぞれですが、エンジニアの給与相場はそれほど高くありません。例えば医師や会計士の場合、敷居が高いこともあり、給与相場が高いです。「基礎能力がある程度以上 + 専門の教育 + 試験の合格 + 研修期間の完了」が必須となり、人が限られます。一方エンジニアの場合は「基礎能力がある程度以上 + 独学程度」でなれてしまいます。中には基礎能力もさほど必要ない場合すらあります。つまり対象となる人がある程度おり、エンジニアの給与相場が高額になることはありません。関連:ITエンジニアは高年収を狙うには向いてない面もある

全国平均

システム・エンジニア568万
プログラマ425万
※厚生労働省 賃金構造基本統計調査

給与上限が高くない

一部では上限が非常に高い企業(年収1500万、2000万等)も存在しますが、多くの会社のエンジニアの上限は高くはありません。CTOなど特別な役職者のみ1500万など高く設定される場合はありますが、ある程度優秀な人でも800万~1000万前後になる可能性があります(一部の高待遇の企業を除く)。ちなみに事業系職種で事業をヒットさせた場合、もっと高い報酬になる可能性が十分ありますし、歩合制営業であれば、かなりの高額報酬になる人もいるでしょう。

勤務する会社の給与水準に左右される

基本的にエンジニアは会社員です。そのため勤務する会社の給与相場から強い影響を受けます。そのためスキルが高い人でも給与水準に所属する場合、社内平均につられて給与が低くなる可能性が高いです。

スキルが低いと非エンジニア職より低い

スキルが低い場合、一般的な営業系職種より安くなる可能性があります(300万 ~ 400万など)。特に中小企業などでありがちな「良い人が集まらないので経験が浅い人でも安ければ雇う」「営業ができないので技術職に配属する」のようなスタンスの会社は低めになるでしょう。そのためエンジニア職は誰でも”高め”になる職業ではありません。

役職による昇給機会が少ない

事業系職種の場合は役職による昇給機会がありますが、エンジニアの場合は役職による昇給機会が少なめです。事業系職種の場合は「主任、係長、課長、部長、事業部長」などの管理職が存在し、役職が上がる事で大幅に昇給するケースがあります。実績不十分でも決裁者から「君に任せる」となれば、役職が付く場合もあります。また部門も多数あり、その分機会があります。一方エンジニア職の場合、「役職が無い(あっても実質機能してない) / そもそもスキルが高い人が後付けで役職が付いている」等であり、役職による恩恵は少なめです。

会社によっては地位が低い場合がある

会社によってはエンジニア職の地位が低い場合があります。事業系職種ではないため、売上責任が無い点や保守的・温厚な性格の人が多い等が理由と思われます。職場の地位が低い場合、「この面倒な仕事は奴らに任せておけばいい」のように格下の存在として扱われる場合もあるでしょう。もちろん逆にエンジニアが尊敬されたり地位が高い会社もあり、エンジニアの地位は会社によって異なります。

ストレスがある

どのような職業でもストレスはつきものです。エンジニアの場合は「納期、大量の作業、実現が難しい課題の解消、システムトラブル・システムリスク」などが主なストレスになります。関連:ITエンジニアのストレス

高めな基礎能力が必要なケースがある

エンジニアの仕事は、高めな基礎能力(地頭力など)が求められるケースがあります。能力が追いつかない場合は、大変な思いをするでしょう。

その他の特徴

ITエンジニアはスキルが重要

ITエンジニアは、スキルが重要視される職種です。そして現時点でスキルがあっても長年安泰ではなく、将来のためのスキルアップが必要です。スキルアップしにくい環境は将来の選択肢を狭めるため、仕事内容や環境にこだわりを持つエンジニアは少なくありません。

新しい仕組みが登場し、変化が起きる

技術の分野では次々に新しい仕組みが登場し、エンジニアリングのスタイルが変化します。そのため変化に合わせて勉強を継続していく必要があります。変化を楽しめる人であれば良いですが、興味が無い人にとっては苦痛となるでしょう。このような特性はデメリットでもありメリットでもあります。関連:ITエンジニアの年収アップは?将来性は?

成果物を作るエンジニアの場合、顕著に結果がわかる

成果を作るエンジニア(開発するエンジニア、設計するエンジニア等)の場合、遅い or 早い、品質が高い or 低いなどのレベル感が顕著にわかります。成果が大きい人は評価され、成果を出せない人は最悪は淘汰されます。他の職種ではコミュニケーション能力である程度ゴマカシが効く場合もありますが、成果物の作るエンジニアの場合はゴマカシは効きにくく、自分の力で解決する必要があります。

給与が上がると責任が上がり、仕事量 or 責任が重い

エンジニアで給与が高い場合、大抵は専門性や納期が厳格に見られ、仕事量・責任が増します。当然と思うかもしれませんが想定上に高い責任が付く場合があり、営業職で大きな数字を追うような感覚と同じで、大きなストレスを感じる可能性があります。

エンジニアの給与は幅広く平均的には高いとは言えない

エンジニアは医師のように給与が高い職業ではありません。やや年収が高めかつ安定というキーワードがマッチします。エンジニアは基本的に会社員です。そのため勤務する会社の給与水準に強く依存します。給与水準が高い会社であれば高くなり、給与水準が低い会社であれば低くなります。

  • 勤務する会社の給与水準に左右される
  • 昇給基準は勤務する会社による(スキルの市場価値とは連動しない場合がある)
  • スキルが高い人でも給与は様々(特別高くない人もいる)

ITエンジニアが勤務する会社としてはSIer、中堅・中小システム企業(派遣、受託、パッケージベンダー)、ベンチャー系企業(自社サービスなど)に勤務する人が圧倒的に多いです。割合が多い平均的な人の給与水準は東京でもあまり高くなく500万~700万前後が平均的です(年齢は20代前半~40歳前後が多い)。スター級の人材であれば2千万など破格の高額を支払う企業も存在しますが「わずかな企業で用意されているわずかなポジション」です。また外資系の日本法人は高い傾向ですが全体的には外資系勤務の人の比率は多くはありません。

高い人で1000万、非常に高いと1300万などありえますが優秀かつ実績があり運もある人です。当然エンジニア部門の管理職や高いスキルを持った人の給与は高めですが全体からすると少なく、多くの人が平均的な水準となります。

ちなみに海外企業(特にアメリカ、ヨーロッパ)ではエンジニアの給与水準は非常に高く、感覚的に日本の1.5倍以上、優秀な人だと2、3倍以上になる場合もあるでしょう(海外企業の場合は給与上限も高いです)。日本の場合は平均思考で優秀な人の給与があまり高くはありません。

またエンジニアは自分自身で技術の勉強をしていく必要がある場合があります。やや高い年収、もしくは平均年収程度のわりに多くの勉強時間が必要になる可能性があります。そのため技術に興味が無い人だと「まったくわりに合わない」と感じる人もいるでしょう。

報酬だけで見るとビジネス職の方が有利な可能性もある

ITエンジニアはレベル・給与水準は幅広く、技術力(もしくは問題解決力)が低めの会社のエンジニア職の給与水準は低くなり、勤務する会社の中でもやや低めの職種に該当するケースさえあります。そのためエンジニア職でやや高い年収を狙う場合は「難しい事が求められる会社」もしくは「給与水準が高い会社」がお奨めです。

ちなみに”ごく普通の人”が企業勤務で高い報酬を狙う場合、下記のようなビジネス職の方が即効性があり有利です。数字責任が求められるような営業系・事業系の仕事です。ただし結局多く人が当てはまる仕事ではありません。

高い報酬を狙える仕事の例

  • 歩合制営業
  • 事業開発職
  • 外資系のビジネス職(特に外資系金融やコンサル)
  • 組織の責任者(部長、事業部長など)
  • 優良大企業の総合職(商社・マスコミ・インフラ関連など)
  • コンサルティング会社(戦略、IT、その他)
  • 高収益体質・高待遇の会社への新卒入社(自動昇給)

求人は多数存在するが条件がマッチするのは一部

エンジニア求人は一見多数求人があり、「将来性がありそう、可能性が大きい」と思う人もいるかもしれませんが、年収が上がれば上がるほど求められる条件が厳しくなり分野の専門性や経験レベルが上がります。そのためどんなに技術力が高く経験豊富な人でも幅広い求人にマッチすることはありません。例えば必須条件でJava経験3年以上の指定がある場合、Ruby経験が5年あっても該当しないことになりますし、開発経験がどんなに長くてもGCP経験が1年以上が必須となっていた場合、GCP経験が無ければ基本NGです。年収が高そうで数が多そうなエンジニア求人ですが、スキルが高い人でも実際に自分に該当する求人は一部です。ましてや有名企業を必須条件とした場合は対象となる求人は減りますし、年収を高く望めば対象となる求人は激減します。また浅く幅広い経験を積むと専門性が低くなり、年収が高めな求人は狙いにくくなる可能性もあります。

条件の例

  • Java、またはScalaの経験3年以上
  • オブジェクト指向言語の開発経験2年以上
  • GCP、またはAWS利用経験3年以上
  • 5年以上のプロジェクトマネージメント経験
  • RDBMSの専門的な知識
  • Androidネイティブアプリ開発2年以上
  • 金融業界でのシステム企画経験3年以上
  • CIツール環境での開発経験1年以上

ベンチャー系は若手とのコンペになる

ベンチャーは年功序列ではなく基本的に実力主義です。若手にやや良い報酬を支払い、積極的に優秀な若手を採用する会社が多々あります。(ベンチャーは短期の成果を重要視しコスパが良い20代を積極的に採用します)
その結果、若手とのコンペになり30代、40代の昇給が簡単ではないベンチャー企業も多々存在するでしょう。そのような環境は「スキルが低めなエンジニア、若手と差が付きにくい役割のエンジニア」には厳しい環境です。

「〇〇さんより、□□君の方が質良いよね。」
「〇〇さんがやっているタスクは若手でも担えるので、よりレベルの高い仕事をして下さい。」

30代以上の人で成果が若手と同じ程度で給与のみ高い場合(年齢相応の給与)、厳しい状況に陥ります。「3年待つので頑張ってください。応援します」とはならず、「3か月でどうにかして下さい」となるでしょう。

ITエンジニアにオススメな人(まとめ)

ITエンジニアのメリット・デメリットを説明しました。特にオススメな人は主に下記のような人です。
(雰囲気は「ITエンジニアの主な性格・人間タイプ」「ITエンジニアのストレス」「ITエンジニアの企業タイプ・給与水準別の傾向」で詳細状況をご覧頂けます)

  • 安定した仕事(安定した収入の仕事)に就きたい人
  • 数学など理系科目が得意、基礎能力が高い人
  • 一部の好待遇な仕事を狙いたい人
  • 技術が好きな人
  • ストレス(納期や品質等)に強い人
  • 他職種の仕事をやりたくない人、出来ない人