外資系IT企業 ~世界展開する事業に携われる・報酬が良い~

外資系IT企業について

有名IT企業が集まる米国の西海岸(写真:Unsplash)

外資系企業は海外である程度以上成功した会社であり、成長が見込めるため日本に進出しています。つまり外国である日本に進出できるほどの体力があり、規模もある程度以上の会社です。

主な事業は自社製品であるサービス(ウェブサービス・ITサービス)・プロダクトを軸に展開する会社が多く、自社製品の販売、もしくは自社製品を軸にしたコンサルや請負を行うが多いです。(単純なシステム請負のビジネスモデルの会社は非常に少ないです)

外資系IT企業の良い点としては世界展開する事業に携われる報酬が良い点などが大きなメリットでしょう。幅広い職種で報酬が高めです。

働く環境は海外本社の方針と日本の習慣や法令義務が混ざった環境です。そのため外資系日本法人と海外本社の環境・条件は同様ではありません。例えば職種の構成が日本法人と海外本社では全く異なる場合もあります。(例:海外本社はエンジニアが多いが、日本法人はセールスが大半など) また査定は大抵日本人が評価するため、完全な海外スタンスにはならない場合が多いでしょう。その他外資系企業と言うと有名企業を思い浮かべますが知名度が高い会社はわずかであり、また本社が大きく有名な会社でも日本法人が小規模なケースは珍しくありません。

また日本法人のスタイルは、海外本社の方針(事業の方針、日本法人に求める方針)、日本法人の経営陣・幹部の方針により変動します。外部からの確認は難しいですが「会社の基本情報(設立年数、規模、従業員数、事業内容 等)、経営者の略歴、求人の募集職種・給与水準」などから、おおよその予想は可能です。外からの印象として外資系企業に見える場合でも「外資系企業と日本企業が出資した合弁会社の場合」、「日本法人が長く日本流が浸透し、中身はほぼ日本の会社の場合」、「強い決裁権を日本法人の社長が持ち、日本のベンチャー・中小企業に似る場合」などはあり得るでしょう。

向いている人

下記が多数当てはまる、もしくはいずれかに非常に強いこだわりがある場合は外資系IT企業を狙うのが良いでしょう。

  • 英語が問題ない人(もしくは英語に抵抗がない人)
  • 高い報酬を狙いたい人
  • 世界標準のサービス・プロダクトに携わりたい人
  • 海外企業にしか存在しない職種に就きたい人
  • 職種における専門性を上げたい人
  • プライベートと会社を分けたい人(同僚や先輩・上司に干渉されたくない人)
  • 先輩などに依存せず、自分自身で考え行動できる人
  • 明確な結果を出し、給与交渉したい人
  • 特定分野で強みがあり有利になる人
  • 意識高い系を許容できる人
  • 海外本社の方針・海外スタンス(評価等)を許容できる人
  • 海外本社研修・出張が問題ない人
  • 海外本社勤務のチャンスをつかみたい人
  • 若干のリスク※を承知できる人
    ※日本撤退、パフォーマンスダウンによる降格・減給・退職など

会社の特徴

地域 東京圏(東京、神奈川、千葉など)が非常に多い。
オフィス 有名な高層ビルに入居する企業が多い。規模が小さい場合でも環境が良いレンタルオフィスなどに入る会社が多い。
主な株主 海外本社 ※合弁会社の場合、日本企業も株主になる
事業の例 B2Cウェブサービス、プロダクト、コンサル、ネット広告代理
職種の例 セールス、コンサルタント、エンジニア、
セールスエンジニア、テクニカルサポート、カスタマーサポート
人の特徴 事業により偏る。
傾向:セールス・マーケティング比率が多め、大手出身または前職が外資系が多い、女性比率が多め(女性管理職も多め)
年齢層 20代後半~40前後が多い。若い人がやや少なめ。
平均勤続年数 短め(ベンチャーより長め)。会社による。
残業時間 会社による。無理な残業はしない風土。
福利厚生 会社による。福利厚生は少なめ。

給与の特徴

  • 幅広い職種で高め。業界の給与水準より高い(わずかな職種で例外あり)。
  • 職種・人によって格差がある
  • 責任が大きな人・ハイスキルな人は非常に高い給与設定がある
  • 若くても年齢のわりに高い水準の会社がある

給与体系

査定基準 スキル・業務成果、転職時の給与交渉
特徴 月給が高い、かつ賞与も多い場合もあり
月給 年収の12分割~16分割 程度
※賞与比率は同じ会社でも人により異なる場合があります(Aさんは14分割、Bさんは12分割など)
給与例 例1: 年収700万、月給50万(固定残業代10万)、賞与100万
例2: 年収960万、月給80万(固定残業代15万)、賞与0万
例3: 年収1100万、月給75万(固定残業代20万)、インセンティブ200万
例4: 年収1380万、月給80万(残業代なし)、インセンティブ420万
残業代 固定残業、もしくは職種により全額支給
退職金 基本なし

海外IT企業は非常に高い

海外IT企業のエンジニア給与水準は日本(東京)と比べ、非常に高い給与水準です。そして海外IT企業により作られた外資系の日本法人も高い水準です。

・$177K/年(約1900万) Google Senior Software Engineer
・$151K/年(約1600万) Amazon Software Development Engineer II
・$196K/年(約2100万) Salesforce Lead Software Engineer
by Glassdoor.

規模の大きなテック企業は非常に高いですが、数百名程度の企業でも年収1500万など高水準のケースは珍しくありません。ITエンジニアの給与相場が高い水準のため、日本より優秀な人が集まりやすい状況です。こうした破格とも言える給与水準は日系企業にはありません(一部の企業のわずかな人にはあり得ますがイレギュラーです)。そのため非常に優秀で日本のスタンスに疑問を感じた人は海外に行ってしまう場合もあります。(関連:なぜ海外のIT企業の給与は高いのか? )

一般の知名度が高い会社はわずか

一般消費者の誰もが知るような知名度の高い会社はわずかです。これらの会社は消費者向けにプロダクトやサービスを提供しているため、知名度が高くなります。

知名度が高い会社

Apple, Google, Facebook, Amazon, Microsoft, Twitter, Dell, Netflix, IBM, Intel など

規模が大きいものの一般の知名度が低い会社も存在します。業界で有名な企業でも世間一般の人は知らない会社は多いです。

やや知名度が低いが規模が大きな会社

SAP, Salesforce, NVIDIA, Unisys, RedHat, Adobe, Oracle, CISCO, 3M, Fortinet, TCS(TATA), JetBrains, Atlassian など

上記の例は規模が大きい会社です(かつ有名な会社です)。より規模が小さい有名ではない中堅規模の会社が多数存在します。

日本法人が小さい場合がある

また有名な企業でも日本法人は小規模な場合はあり得ます。

日本法人が小規模な外資系企業

  • 世界累計では3000名規模だが本社は1000人程度でその他は各国に分散。日本は100名程度。
  • IT製品企業で本社2000名、日本は150名。
  • 本社は1000名のソフトウェア企業で極東アジアは延べ200名。日本は50名。

日本法人が非常に小規模の場合もあり得ます。数名~数十名のように人数だけ見たら零細企業のような人数です。

日本法人が非常に小さい外資系企業

  • 本社は500名程度の有名ネット企業で日本法人は10名弱程度。
  • 本社800名のパッケージ製品企業で日本法人は20名。
  • 本社500名程度のサービスで日本担当 2、3名。

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